外壁の色は、塗り替えたあと長くつき合うことになる大きな選択です。それなのに「見本で選んだ色と、塗り上がった家の色が違って見える」「白にしたら雨だれが気になる」といった後悔は、工事が終わってから気づくことがほとんどです。
この記事では、色の好みそのものではなく、選んだあとに起きやすい3つのこと(見本と実物の差・汚れの目立ち方・色あせ)に絞って、決める前に確かめておきたいことをまとめます。色の3属性やサッシ・屋根との合わせ方といった基本は、塗装へのこだわり(色えらび・カラープラン)のページで紹介しています。
明るい色はより明るく見える「面積効果」
色選びでよく聞くのが、「思っていたより明るい(派手な)色になった」という声です。原因のひとつが面積効果です。外壁材メーカーのニチハは、面積効果を「面積が大きいほど明るい色はより明るく、暗い色はより暗く感じられる」現象と説明しています。手のひらほどの色見本で「ちょうどいい」と感じた明るい色は、家一軒の壁になると、もう一段明るく見えることがあるわけです。
当社のお客様の声にも、神栖市のお客様から「打ち合わせで斉藤さんが『面積が広がると薄く見えます』と言われた通りでした」という言葉をいただいています(お客様の声)。
見本と実物の差を小さくする方法
- 大きめの塗り見本で確かめる:関西ペイントは、色見本帳のような小さな色票と壁のような大面積では印象が違うことがあるため、事前に大きめの塗り見本を作ってもらい、仕上がりや色味を確認するよう案内しています。日本ペイントでも、施工会社や塗料販売店を通じて、有償でA4サイズの塗り板(塗装サンプル)を注文できるとしています(オーダーメイドのため、注文確定後7〜10営業日の納期)。
- 家の前で、外の光で見る:色見本ではそっくりに見えた色でも、塗料の原料の違いによって、光の種類が変わると違って見える「メタメリズム(条件等色)」が起きることがあり、関西ペイントは実際に塗装する現場の光源で色を確認するよう勧めています。室内の照明の下だけで決めず、晴れの日と曇りの日、日当たりのよい面と北側の面で見比べると、差に気づきやすくなります。
- 古い見本帳で選ばない:発行元の日本塗料工業会は、塗料用標準色(いわゆる日塗工の色見本)の見本帳の有効期限を3年としています(同会サイトより。現行は2024年版で、次の版は2027年に発行予定)。昔もらった見本帳が家にある場合も、色番号だけで決めず、最新の見本で確かめるのが安心です。
- 迷ったら、見本より一段控えめに:面積効果を踏まえると、明るい色は見本より少し落ち着いた色、暗い色は少し明るめの色を選ぶと、イメージに近づきやすくなります。
汚れが目立ちやすい色・目立ちにくい色
塗り替えから数年たって気になり始めるのが汚れです。外壁の汚れには、雨だれ、砂ぼこり、泥はね、日当たりの悪い北面などに出るカビ・コケといったものがあります。ニチハは、グレー・アイボリー・ベージュ・ブラウンなどは汚れが比較的目立たない色、ホワイト・ブラック・原色系などは汚れが比較的目立ちやすい色とされている、と紹介しています。
白や黒が好きな方は、それをあきらめる必要はありません。たとえば次のような考え方があります。
- 真っ白ではなく、少しグレーやベージュ寄りの白にする
- 汚れが付きやすい1階まわりや窓の下を、汚れの目立ちにくい色にする(ツートンにする場合)
- 色だけでなく塗料の性能も確かめる。日本ペイントは、塗膜の親水性を高めて汚れの付着を抑え、雨で汚れが落ちやすくなる効果が期待できる「低汚染タイプ」の外壁用塗料を案内しています
どの塗料が低汚染タイプにあたるか、費用がどう変わるかは製品によって違います。見積もりのときに、使う塗料の名前と一緒に確かめておきましょう(見積書で確かめたい点は外壁塗装の見積書で確認したい5つのポイントにまとめています)。
色あせが目立ちやすい色
塗膜は日光(紫外線)や雨風を受けて少しずつ劣化し、色もあせていきます。どの色でも起きることですが、目立ち方には差があります。アイカ工業の外壁リフォームカタログには「濃色や彩色を外部で使用する場合、色あせが目立つ場合があります」という注意書きがあります。
また、塗料の耐用年数の目安も色によって前提が違います。関西ペイントは、外壁用塗料の期待耐用年数の目安(たとえばシリコン樹脂塗料で12〜15年)について「淡彩系を基準としたおおよその目安」と書いています。年数はあくまで目安で、塗料のメーカーや製品、建物の向きや環境によっても変わります。塗料のグレードごとの年数の目安は外壁塗装のページで紹介しています。
濃い色や鮮やかな色を使いたいときは、壁一面ではなく、玄関まわりや一部の面のアクセントにとどめると、色あせが気になりにくくなります。海に近い鹿嶋市・鉾田市・神栖市のお住まいは、潮風による傷みも重なるため、塩害と塗り替えの考え方もあわせてご覧ください。
塗り替えならではの「動かせない色」に合わせる
新築と違い、塗り替えでは色を変えられない部分があります。サッシ、玄関ドア、塗らない屋根材などです。こうした部分が茶系なら外壁も茶系・ベージュ系・グレー系にするなど、動かせない色を基準に考えると、まとまりのある仕上がりになります。
軒天・破風板・雨樋などの付帯部も、全体の印象を左右します。当社で公開している見積書では、軒天は白、破風板・雨樋はこげ茶・白・黒など標準色の例が多く、破風板や雨樋を白にするとアクセントになります(詳しくは軒天・破風板・雨樋の塗装のページ)。
見本帳に無い色を使いたいとき
日本ペイントは、石材調などの意匠タイプ以外の外壁用塗料であれば、色見本帳に載っている標準色以外の色も調色して塗れるとしています。ただし、通常より納期が長くなり、濃い赤〜紫系など色によってはかなり割高になることがあるとも書いています。当社でもメーカーでの調色ができますが、外壁と屋根以外(軒天や外階段など)で当社の標準色以外の色をご指定の場合は加算金が発生します。外壁・屋根の色を調色する場合も、費用は色や塗料によって変わることがあるため、見積もりのときに確かめておきましょう。
色を決める前のチェックリスト
- 色見本だけで決めず、大きめの塗り見本や、近所で似た色の家を見て確かめたか
- 家の前の外の光で、日なたと日かげの両方で見たか
- 見本帳は最新のものか(色番号だけで決めていないか)
- サッシ・玄関ドア・屋根など、変えられない部分の色と合っているか
- 景観のルール(市町村の景観計画など)や分譲地の建築協定などで、外壁の色に決まりがないか(色の変更に届出が必要な地域もあります。分からなければ市役所や分譲地の管理者に確かめる)
- 白・黒・原色系を選ぶ場合、汚れや色あせの目立ち方を納得しているか
- 使う塗料の名前・色番号・つやの有無が、見積書や打ち合わせの記録に残っているか
色は好みが大切ですが、「どこが汚れやすいか」「この面は日がよく当たるか」は、家ごとに違います。迷っている色の候補がいくつかあれば、実際の壁を見ながら一緒に絞り込むのが確実です。



