窓ガラスがすぐに白く曇る、車や自転車がさびやすい、外階段の手すりにさびが浮いてきた——海に近い家にお住まいの方なら、思い当たることがあるかもしれません。潮風に含まれる塩分は、外壁や屋根、外回りの金属部分にも付いています。鹿嶋市・鉾田市で外壁塗装・屋根塗装を手がけるさいとうリフォームが、塩害で外壁や屋根に起きやすいことと、傷みやすい場所の見方、塗り替えの時期と施工で気をつけたい点をまとめました。
海に近い家で、外回りに起きやすいこと
潮風に運ばれた塩分は、外壁や屋根、雨樋、金物などの表面に付きます。塩分が付いたままの金属はさびが進みやすく、海から離れた地域の家に比べて、外回りの傷みが早く出ることがあります。
特に影響が出やすいのは、次のような部分です。
- 鉄部……外階段・手すり・面格子・物干し金具など。塗膜の傷やはがれたところから、さびが広がりやすくなります。
- 金属の屋根・外壁……トタンや、塗装されたガルバリウム鋼板など。切り口や継ぎ目、ビスの周りから傷みが出ることがあります。
- 釘やビスの頭、金物……さびが出ると、その下の外壁に茶色いさびの筋が流れることがあります。
ただし、傷み方は海からの距離だけで決まるわけではありません。潮風が直接当たる向きか、建物や林の陰になっているか、雨で洗われる場所か、といった条件でも変わります。同じ家でも、面によって傷み方が違うのはそのためです。
塩が残りやすい場所と、見ておきたいサイン
雨で洗われない場所ほど、塩が残りやすい
外壁や屋根に付いた塩分は、雨が降るとある程度は洗い流されます。逆にいえば、軒の下、ベランダの天井、出窓の下など、雨が直接当たらない場所には塩分が残りやすくなります。
設備の例ですが、ある空調機器メーカーは、業務用の室外機の塩害対策仕様の資料で、留意事項として次のように書いています。
室外機外装パネルに付着した塩分等の雨水による洗浄効果を損なわないように、日除け等は取り付けないでください。
(中略)
特に、海岸地帯への据付品については、付着した塩分等を除去するために定期的に水洗いを行ってください。
室外機についての資料ですが、付いた塩分を雨が洗い流す働きを妨げないこと、海岸地帯では定期的な水洗いで塩分を落とすことが留意事項として挙げられている点は、外回りを見るときの参考になります。雨の当たる面だけでなく、軒下などの陰になっている部分にも目を向けてみてください。
金属の屋根・外壁は「ふくれ」「白さび」に注意
ガルバリウム鋼板の製品を扱うメーカーのタニタハウジングウェアは、塗装ガルバリウム鋼板の塗膜が傷んでいく流れを「施工完了→光沢低下→色調変化→チョーキング(白亜化)→ふくれ→白錆→赤錆→穴あき」と示しています。
同じ資料の図では、ふくれと白錆は塗膜の下の「表面処理層」の段階、赤錆と穴あきは「鋼板」そのものの段階に置かれています。また資料は、チョーキングの末期でふくれがところどころに見える状態を、一般的な塗装ガルバリウム鋼板の再塗装の目安としています。表面が白っぽく粉をふく(チョーキング)段階を過ぎて、塗膜のふくれ、白い粉のようなさび(白さび)、赤さびが見えてきたら、傷みが塗膜の下まで進み始めているサインと考えてください。地上から見える範囲で、こうした変化が出ていないかを確かめておきましょう。外壁全体の劣化サイン(チョーキング・ひび割れ・コーキングの傷みなど)については、外壁塗装のページで紹介しています。
海に近い家の塗り替え時期の考え方
塗り替えの時期は、外壁材や前回使った塗料、家の向きなどによって変わります。さいとうリフォームでは、新築から10年を塗り替えを考える目安としてご案内していますが、海に面した鉾田市・鹿嶋市は潮の影響が大きいため、通常より早めの塗り替えをおすすめしています(外壁塗装・屋根塗装のこだわり)。
参考として、前出のタニタハウジングウェアは、一般的な塗装ガルバリウム鋼板の点検と塗り替えの目安を、使用環境ごとに次のように示しています。
| 使用環境 | 最初の点検時期 | 塗り替え時期 |
|---|---|---|
| 一般地域 | 10~12年 | 11~15年 |
| 工業・海岸地域 | 8~10年 | 9~12年 |
(出典:タニタハウジングウェア「ガルバリウム鋼板(タニマットカラー)のメンテナンスについて」)
同じ資料には注意事項として「上表の年数は、あくまでも目安であり、保証するものではありません。」「海岸至近距離及び劣悪な腐食環境は除きます。」とも書かれています。さらに「メンテナンス時期は、平面部について適用するものであり、加工部及び端面は除きます。」とあり、傷みが出やすい切り口や折り曲げた部分は、この年数より早く傷むこともあると考えておいたほうが安心です。また、これは塗装ガルバリウム鋼板についての目安で、窯業系サイディングやモルタルの外壁にそのまま当てはまるものではありません。外壁材ごとの時期は製品や状態によって違いますが、海に近い家では早めに状態を点検しておくと安心です。年数だけで決めず、実際の傷み具合を見て判断するのが確実です。
塗り替えでは「塩を落としてから塗る」ことが大切
海に近い家の塗装で気をつけたいのが、塗る前の下地の状態です。日本建設業連合会の鉄骨専門部会は、建築の鉄骨部材に付いた塩分への対策を解説した資料の中で、工場で塗装した鉄骨部材を運ぶ途中に塩分が付く場合について、次のように説明しています。
塩分が付着したまま塗装すると、その上に塗られた上塗り用塗料の表裏に浸透圧を生じ、水(水蒸気)が塗膜に浸透しやすくなる結果、上塗り用塗料とその下の塗膜の間でふくれやはがれを生じる原因となります。
(出典:日本建設業連合会 鉄骨専門部会「鉄骨工事Q&A B-6-3 付着塩分対策」(2012年9月1日制定・2016年7月1日改訂)、同会ウェブサイト掲載)
前出のタニタハウジングウェアの資料も、施工上の要点として「塗替え塗膜の寿命は、素地調整(浮き上がった旧塗膜、浮錆又は油脂、塩類等の除去清掃)の程度により多大の影響を受けます。」と書いています。
どれだけ良い塗料を選んでも、塩分や汚れ、浮いた古い塗膜、さびが残った上に塗れば、塗膜が密着しにくくなります。さいとうリフォームでは、高圧洗浄のあと、落としきれずに浮いた古い塗膜や鉄部のさびを手作業で取り除くケレン作業を行い、密着力の高い2液性エポキシ系のシーラーで下地をつくってから塗装しています。下地処理の内容は外壁塗装・屋根塗装のこだわりのページでご紹介しています。
なお、塩害への強さは、塗料の種類だけで決まるものではありません。素材や傷み具合、潮風の当たり方によって、適した下地処理や塗料は変わります。お見積もりの際は、使う塗料と合わせて、塗る前にどんな下地処理をするのかも確かめておくと安心です。
ふだんの暮らしでできる手入れ
塗り替えまでのあいだにも、ふだんの手入れで傷みの進み方を見ておくことができます。
- 地上から、ときどき外回りを一周して見る……鉄部のさび、金属屋根・外壁のふくれ、外壁に流れたさびの筋がないか。気になるところはスマートフォンで写真に残しておくと、変化を比べやすくなります。
- 手の届く範囲は、ホースの水で塩分を流す……雨の当たらない軒下の外壁や、手すり・物干し金具などは、ときどき水で流しておくと塩分が残りにくくなります。コンセントや照明、換気口などには水を直接かけず、下から吹き上げたり強い水圧を当てたりせずに、上から軽く流す程度にとどめてください。
- 高い所は自分で上らない……2階の外壁や屋根、軒樋の掃除のためにはしごに上るのは、転落のおそれがあり危険です。はしご作業の注意点は雨樋から水があふれる・外れる原因の記事でも紹介しています。
鉄部のさびが広がってきた、金属屋根にふくれや赤さびが見える、といった場合は、塗り替えだけでなく補修が必要になっていることもあります。外回りの補修については外回りの修理のページをご覧ください。
まとめ
海に近い家では、潮風で運ばれた塩分が外回りに付き、鉄部や金属の屋根・外壁を中心に傷みが早く出ることがあります。雨で洗われない軒下などは塩が残りやすく、ふくれや白さびは傷みが塗膜の下まで進み始めたサイン、赤さびは金属そのものまで傷みが及んでいるサインです。塗り替えは年数の目安だけで決めず、海から離れた地域より早めに状態を点検し、塗るときは塩分や浮いた古い塗膜、さびをしっかり落としてから塗ることが大切です。気になる症状があれば、まずは状態を見てもらうのが確実です。


